歯周病は病原菌に感染した後、それが好都合な条件の下で繁殖し、それに伴い、免疫反応が歯周組織などに悪い影響を与えることで起こります。むし歯のように歯自体が蝕まれていくのではなく、痛みも病気が進行しないと感じないため、発見が遅れることがあります。しばらく歯科医院に通ってないという方は歯周病検査を一度受診されることをお勧めします。
歯周病の進行は遺伝的な因子のほか、喫煙や歯磨きが苦手といった後天的な因子によって影響を受けるということがわかっています。原因菌の中には、歯垢が歯にくっついてしばらくしてから繁殖を始めるものもいます。
したがって、喫煙を控え、毎食後の歯みがきで歯垢が溜まらないようにすることがホームケアとして重要になります。歯磨きで取りきれない歯石などは当院で定期的に除去いたします。
歯肉溝にプラークが溜まることで、細菌が毒素をだします。やがて炎症が起き、触れると出血することもあります。歯磨きによって、改善することが出来ます。
歯と歯ぐきの境目、歯肉溝の隙間が深くなり、歯周ポケットを形成します。ここから根の先に向かって進行していきます。
歯根膜や歯槽骨も歯の根の半分くらいまで破壊され、歯が動揺し始めます。噛んだときに痛みが出るようになります。
炎症が更に拡大し、歯槽骨は半分以上破壊され、歯はかなり動揺しています。歯肉が下がって歯の付け根が見え、長く見えます。
歯周病の検査方法には、歯周ポケット検査、出血検査、細菌検査、歯の動揺度検査、レントゲン検査、プラークインデックスなどがあります。歯周病に罹患すると歯周ポケットが深くなり、歯槽骨の破壊まで進んでいれば歯がグラグラ動くため、これらの検査で進行度合いを調べることが出来ます。
歯肉溝は、滲出液をちょっとずつだし、生体防御の役目を果たしています。歯周病になるとこの溝が深まり、歯周ポケットが形成されます。ここにプローブという物差しを入れ、ポケットの深さを測ります。健康な状態なら深さは2mm以内になります。
歯周病原因菌の種類と数は病気の進行度と関係しています。当院では、歯周ポケット内の液体を採取して調べる免疫学的検査を行っております。特定の歯周ポケットの細菌を検出することで、精度の高い治療に繋がります。
歯科用拡大鏡(テレスコープ、ルーペ)とは、歯を拡大して見るための道具です。肉眼では見えなかった歯の微細な凹凸、隠れた根管、歯と歯肉の間の隙間などが確認することが可能です。拡大鏡の使用により、診断の正確さが高まり、より安全な歯周処置が可能になります。
歯周病の原因菌を取り除くため、ブラッシングやスケーリングによって歯の表面に付着した歯垢や歯石の除去を行います。歯周ポケットの中まで歯垢が溜まった場合は、SRP(ルートプレーニング)という方法によって、歯を一本一本丁寧に、内部に入り込んだ歯石の除去を行います。
歯周病により骨が吸収された部位に特殊な保護膜を張り、歯周組織(歯槽骨)が回復するスペースを確保し再生を促すGTR法(組織再生誘導法)や、歯周外科手術の際に、手術部位にエムドゲインゲルという薬剤を注入し、歯周組織の再生を促すエムドゲイン法などがあります。
原因菌を取り除いた後は、歯周病によって弱った歯にとって負担のかからない噛み合わせが必要です。インプラント治療や補綴治療、矯正治療を行い、歯周病原因菌のいない本来の口腔機能を取り戻します。